さらば「おめでたい憲法」よ 論説委員長・乾正人

(前略)

日本学術会議が出した声明のように大学で軍事研究をするのは罷(まか)り成らぬ、という風潮は強く残る一方で中国に渡って人民解放軍の増強に手を貸す研究者が後を絶たない。
世界は、米国を中心とした「民主主義国家」と中露を主軸とした「強権国家」が対(たい)峙(じ)する新たな冷戦時代に突入した。

両陣営が角逐する最前線が、ウクライナと台湾であるのは論をまたない。習近平国家主席が目指す「台湾統一の夢」を甘く見てはならない。香港での先例が示すように、「台湾有事」がごく近い将来起きる可能性は、かなりある。
もしもの事態が起きた場合、台湾在留邦人や尖閣諸島を抱える先島諸島住民の避難をどうするのか一つとっても何の準備もできていない。

憲法や現行法が有事対応の邪魔をしているのであれば、改めるのが政治家の使命である。国権の最高機関である国会は、今年こそ真剣に憲法改正を論議せねばならない。
「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」国民の安全を図ろうという「おめでたい」憲法は、もう要らない。

https://www.sankei.com/article/20220101-FP27XW7RCFIVHGQKNLI3DSMSNQ/