札幌に2度目の五輪を開催する理念はあるか

2030年の冬季五輪・パラリンピック開催を目指す札幌市が11月末、開催概要計画の修正案を発表した。経費を従来計画よりも最大900億円削減し、総額2800億〜3000億円に収めたことが特徴だ。
新型コロナウイルスの感染が拡大する中で強行開催された今夏の東京大会は、世論の反発を浴びた。
開催に疑念を抱いた人も多く、札幌の招致活動も経費削減をアピールするだけで地元の理解を得られるとは思えない。1972年以来、2度目の招致を目指す札幌は何のために大会を開催しようとしているのか―――。

秋元市長が発表した予算の内訳は、施設整備費が800億円、大会運営費が2000億〜2200億円。市長はさらに「大会運営費については、IOC負担金や大会スポンサー収入などの活用で、原則税金を投入しない」とまで明言した。
だが、計画を詳しく照らしてみれば、大会運営費として挙げた額は、民間資金で運営される組織委員会の予算に過ぎない。東京大会では、コロナ対策やテロ防止の警備費、大会関係者の輸送費などに多額の税金が投入された。

東京の大会組織委員会によると、開催経費は1兆4530億円だった(決算見通し)。内訳は組織委が6343億円、東京都が6248億円、国が1939億円。
競技・種目数を考えれば、夏より冬の方が開催にかかる経費は少ないだろう。しかし、そうであっても、3000億円程度で大会を本当に開催できるのか、現段階では甚だ疑問と言わざるを得ない。
東京大会は招致段階で7340億円の予算だった。しかし、最終的にはその約2倍にまで膨らんだ。札幌も経費を安易に計算せず、現実的な数字で見積もるべきだ。
札幌の計画で経費削減の対象となったのは、主に競技施設である。当初の計画から2会場を減らして13会場とした。
札幌にはジャンプ競技場が2カ所あるが、宮の森は使わず、大倉山だけを利用し、ノルディックスキー複合の距離会場に予定していた円山総合運動場も計画から外した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/cd5c882b69f8aa56e0d11a5fcf76feb62779ef24?page=1