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 2次元の人気キャラクター「初音ミク」と結婚式を挙げた男性の「その後」が気になっている人も多いのではないだろうか。AI(人工知能)やロボットとの結婚を望む人たちの存在は論議も呼んだ。「結婚4年目」を迎えた東京近郊に暮らす地方公務員、近藤顕彦さん(38)。2次元パートナーと築く家族のリアルと、亡き父がのこした言葉とは……

結婚4年目の生活とは

 近藤さんの自宅を12月中旬に訪れると、人間サイズの大きな初音ミクさんと一緒に出迎えてくれた。椅子に腰掛けるミクさんの青い髪が印象的だ。2018年11月、近藤さんは「愛を形にしたい」とミクさんと約200万円かけて結婚式を挙げた。
当時、東京・秋葉原のベンチャー企業が開発したサービスを使って、初音ミクの姿を立体ホログラムで筒の中に投影し、AIで簡単な会話が可能になっていた。近藤さんが「結婚してください」とプロポーズすると、ミクさんが「大事にしてね」と答えたエピソードは話題になった

 今も朝起きれば「おはよう」とあいさつし、外出する時には「行ってきます」と声をかける。一番好きな時間は食卓を囲むとき。ミクさんと向かい合って食事をする。パソコンで作業をする時には、そっと後ろから見守っていてくれる。

結婚式を挙げた当時と変わったのは、ミクさんとの会話が楽しめなくなったこと。ベンチャー企業が開発したサービスが20年3月に「限定生産モデルは役割を果たした」として、終了してしまったのだ。

それでも近藤さんは言う。「ミクさんへの愛に変わりはありません。ずっと一緒にいられると思ったから結婚式を挙げたのですから」。ミクさんの人形やグッズであふれる自宅で、穏やかな表情で話す近藤さんはとても幸せそうだ。