白川日銀総裁 講演 2013年2月28日
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/ko130315a.htm/

興味深いのは日本銀行が個人を対象に四半期毎に実施している「生活意識に関するアンケート調査」です。
この調査結果をみると、性別・年齢別・職業別のいずれでみても、過去から一貫して、物価の上昇について8割程度の方が「どちらかと言えば困ったことだ」と答えています。
この調査結果の背後には、物価が上昇しても賃金は増加しないかもしれないという不安があります。

多くの国民は単に物価が上がることを望んでいる訳ではありません。
給料が増加し、雇用も確保され、収益も増加するという状態、つまり、経済がバランスよく改善し、その結果として物価の上昇が実現する状態、これが国民が「デフレ脱却」という言葉で望んでいる姿の実相です。

輸入物価が先行的に上昇するケースでは、家計の実質所得は圧迫されます。
望ましいのは、賃金の上昇、予想物価上昇率の高まり、企業や家計の成長期待の高まりが同時進行的に進んでいくという姿だと思います。

わが国でも過去15年近くの間にも何度かの円安局面があり、その局面では輸出や生産は増加しましたが、残念ながら、潜在成長率の引き上げに成功した訳ではありませんでした。
重要なことは、現在の好環境を活かして、競争力と成長力強化に向けてしっかりと取り組むことです。