超不人気のアベノマスク、こうすれば蘇る!
目に余る厚労省の杜撰な対応、廃棄するより支援物資に
2022.1.6(木)
森 清勇
※略※
日本は過去2年間、新型コロナ感染問題を大騒ぎしてきたが、世界を眺めると、日本の感染症対策は最上部に入るのではないだろうか。
風土や国民性の違いから容易ではないが、日本はこれまでに得た感染症対策の知見をWHO(世界保健機関)を通して流布し、あるいは各国各地に散在するNGOやNPOを督励して、積極的な普及に努力してはいかがであろうか。
打つ手がないと思われて困惑しているときほど、ちょっとした行為が命を救う慈雨となる。その有難味は、国家を挙げて宣伝する以上に該国民に「made in Japan」として浸透していく。
慈雨の一つに昨年後半から騒ぎ始められたアベノマスク(揶揄として通称化された用語であるが、分かりやすいので使用する)を加えてはどうだろうか。
アベノマスクに恩義はないか
令和2年の初めから、新型コロナウイルス感染症が急激に広まる。
それを前にして、マスクや消毒薬、防護衣などの関連商品のほとんどを中国が世界中から買い集めていた事実が判明した。
日本においてはダイヤモンド・プリンセス号内での感染状況が毎日大々的に報道された。国民は何とかマスクだけでも手に入れようとするが、日本の在庫も底をついていた。
「マスクは有りません」「いつマスクが入荷するか分かりません」などの張り紙を至る所で目にした。
医療関係の部署でもマスクが足りない、防護衣も消毒液も少ないと報道されるようになってくる。
政府が算定したのは介護施設や妊婦向けに約1億5700万枚、各世帯向け(2枚づつ配布として)に約1億3000万枚が調達されることになる。
実際に配布されるまでに時間がかかり、その間に何らかの伝手などでマスクを手に入れるなど、状況も少しずつ改善されてきていたが、それでもどうしても手に入らない人にとってアベノマスクは「救世主」と映ったことは言うまでもない。
しかし、配布決定を「評価しない」(73%、読売新聞)、配布が遅れたことやサイズが小さく、何重にも織り込まれているのでやや重量感があることなどから、配布が概ね完了した時点では「役に立たなかった」(81%、朝日新聞)などの世論調査結果もあった。
マスク性能と関係ない配布遅れなどが不評を拡大したことになる。
筆者は洗濯して何回でも使える便利さから「有難い」と思ったが、「役に立った」と回答した人は15%でしかなかったという。
その後の「医療崩壊」がマスコミの一面的な報道であったと同様に、アベノマスクに対する世論調査の結果も、マスコミの「大きな声(悪評)」に左右されたのではないだろうか。
※略※
日常生活にも困窮している海外への支援は一つの解決策となりうる。
ここで留意すべきは、日本で使い道がない「破棄相当のもの」と言えば、相手(国)は「わが国や国民を人間以下に見ているのか」と、プライドを傷つけたように思われかねない。
そのために、日本で不具合とされた変色や匂い、異物混入など衛生上の諸々の問題は完全に解決し、サイズ(小ささ)だけが問題であるということを理解してもらう必要がある。
その上で「子供用」などと限定することである。
サイズ以外は何の問題もないとなれば、相手は納得して受け取り、喜んでもくれるに違いない。
従って、「在庫処分」だからと言って、手抜きして渡してはならない。日本の発言に二言はなく、信頼を勝ち取るためにも、変色・臭いや異物混入などはないように完全処理する必要がある。
このためにある程度の費用も必要かもしれないが、「無駄」にするよりも「信頼」を勝ち得る効果が大きいのではないだろうか。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68319