2022年1月4日 10:37
旅行大手エイチ・アイ・アイ(HIS)の子会社2社が政府の観光支援事業「Go To トラベル」の給付金を不正受給した事件で、給付金を折半したホテル運営会社JHATの社長は平林朗氏。HISの元社長で、旅行業界では知らぬ者がいない名物社長だ。これには、びっくり仰天。まことに「事実は小説より奇なり」である。

GoTo不正受給は6億4,249万円
 政府の観光支援事業「Go To トラベル」の給付金受給問題で、旅行大手(株)エイチ・アイ・エス(HIS)の調査委員会(委員長・荒竹純一弁護士)は12月24日、子会社2社による不正受給の総額が最大約6億8,300万円になると発表した。報道各社が一斉に報じた。

 2社は(株)ミキ・ツーリスト(東京都港区)と(株)ジャパンホリデートラベル(大阪市)。いずれも、2016年までHIS社長だった平林朗氏が社長を務めるホテル運営の(株)JHAT(ジェイハット、東京都港区)が関与していた。

 公開された調査報告書によると、ミキ社は従業員80人が60泊するという宿泊契約をJHATと結んだが、実際に泊まったのは延べ4800泊のうち114泊だけだった。JHATは宿泊したかのように装ってGoToトラベル事務局から給付金と地域共通クーポンを受け取り、不正に得た4,080万円をミキ社と折半した。不正に支払われた可能性があるという。

 ジャパン社は、JHATの提案で、同社が運営するホテルに泊まる法人向けの研修旅行プランを企画。JHATが提案した法人に延べ5万5053泊分を販売し、給付金を申請した。1,169人のうち532人が実際に泊まっていなかった。不正な申請に基づく給付額は、最大で計6億4,249万円に上る。調査委は、JHATが主導しジャパン社に故意がなかったとみている。

 調査委の委員長を務める荒竹純一弁護士は会見で、不正受給が「刑罰法規(に抵触する行為)に当たると思う」と述べ、詐欺罪に問われる可能性があると指摘した。

 HISの創業者の澤田会長兼社長は調査結果を受けて、記者会見を開き陳謝したが、グループぐるみの組織的関与を否定。不正受給分を返還する意向を示した。
HIS側の調査報告に対して、JHATは声明で「当社はヒアリングを一切受けておらず、当社の見解がまったく反映されていない。非常に困惑しており不満を感じている」と反論している、と各メディアは伝えた。
https://www.data-max.co.jp/article/45484