>>1

3 医療クラスターの跋扈と作家・知念実希人氏のご乱心

 この時,間違った論説のばらまきに一役買ったのが「医療クラスター」,通称「イクラ」と呼ばれる医師集団である。
筆者はメディア報道が問題だと指摘したが,情報発信源に医療従事者がいたことが,最大の問題だと言える。
「イクラ」の人々の主張の共通項は,「SNS 等を使い情報発信に長けている,政府の医療方針を激賞する,ワクチン推進,PCR 抑制」である。
 それを象徴する事例がある。医師で作家の知念実希人氏はある時突然,ワクチン推進の強力な布教者となった。
きっかけはワクチンに対する誤った週刊誌報道に抗議したことである。それは医学的に正しいことだが,この時,記事の削除で満足したことは問題だ。
間違った記事を残しそれに訂正記事を追加しないと,市民の誤認を是正できない。そうしてワクチン推進を SNS 上で展開していくうち,
知念氏の発言は「ネトウヨ化」し,芥川賞作家に対し外人蔑視のヘイト的発言をして大炎上してしまう。
だがその前には医学的な問題があった。
国立遺伝学研究所の川上浩一教授が「不活化ワクチンの方が広く免疫誘導できる可能性がある」と発言したことに噛みついたのである。
それは医学的に知念氏がワクチンについて無知であることを露呈したものだった。
川上先生が一般に発信したことに知念氏が勝手に「間違えた論だ」と噛みつき,しかも自分の誤謬発信を訂正せず,
やりとりをリツイートした出版社サイトを攻撃し謝罪を引き出し,自分のツイートを正当化した。
ワクチンの誤情報を発信している週刊誌等を非難しながら,自身の同様の行為は訂正せずスルーしたわけだ。
聞けば知念氏は川上氏のツイッターをブロックしたという。
異論に対し耳を塞ぐのはまさしくネトウヨと同様の姿勢である。
政府,厚労省の衛生学的対応は基本を踏み外した。
だが政府の政策を擁護する医療従事者集団がいてそれをメディアが無批判に拡散したのが,コロナ感染症の蔓延を生じた大きな一因である。
「こびナビ」というサイトも,「ワクチン推進,PCR 抑制」という,内実は厚労省の主張の別働隊の様相を呈しているように見える。
要注意である。