英国インペリアルカレッジは類似のデータセットを用いて、ワクチン接種歴や非オミクロン株への既感染の影響を考慮したより詳細な解析を行って、
デルタ株とオミクロン株の入院率の違いを検討した(Imperial College London. Report 50)。
2021年12月1日から14日までの検査データを12月21日に抽出して解析が行われ、ワクチン接種歴・年代・性別・人種・地域・検体採取日で層別化したデータを用いて解析された。
結果、デルタ株と比較してオミクロン株の感染例では入院率(救急外来受診も含まれる可能性がある)が15-20%低下しており、1泊以上入院した者に限定すると50-60%の低下であった。
ただし、過去の感染例の全員がとらえられていないために、実際には3倍の既感染例がいると仮定すると、この既感染の影響を除いた入院率の低下は0-30%程度と推定された。
さらに、ワクチン接種歴で層別化した結果も提示されており、未接種のオミクロン株感染例では、未接種のデルタ株感染例の入院率の0.59倍(95%CI 0.5-0.69)であったが、
同様に過去の感染者数が過小評価されている可能性を考慮して既感染の影響を除くと、この値は0.76倍となりデルタ株感染例との差が小さくなった。
また、mRNAワクチンを2回以上接種している者だけで評価すると、デルタ株感染例とオミクロン株感染例の入院率は同程度であった。
本解析では、基礎疾患については調整しておらず、入院関連のイベントは数が少なく、また、報告遅れがあり得るため、解釈に注意が必要である

https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2551-cepr/10900-sars-cov-2-b-1-1-530.html