「肥満がなぜ悪いのか」炎症細胞との関わりがカギ
━幼少期に作られた脂肪細胞数は減ることはない

脂肪細胞の数が多い子ども時代を過ごし、そのまま大人になると、痩せにくく、痩せられたとしても維持するのはとても難しくなります。痩せても細胞の数はそのままで、サイズが小さくなった細胞で脂肪組織が構成されることになり、体はなんとしても「昔」の状態に戻りたいと、食欲が増進し、脂肪が燃えにくくなるためです。だから、子どものときから太っていた人が細身になるのは、すごく難しいのです。

お腹にたまる脂肪細胞は臓器の間に挟まっているため、膨張する余裕がなく、あまり多量は蓄えられません。脂肪細胞の脂肪量が「最大貯蔵量」に達してしまうと、血中の余分な脂肪酸はどこか他の場所へ行かなくてはなりません。その結果、筋肉や肝臓、心臓の周りなどの好ましくない場所に蓄積され、その機能に影響を及ぼします。

さらには、脂肪細胞が脂肪でぎちぎちになると、血管が引き伸ばされ、新たな血管が必要になります。血管が形成されるまでに時間がかかると、中心部の脂肪細胞は酸欠状態になり、大きなダメージを受けて死んでしまいます。すると修復のために炎症細胞が登場し、「ほら、みんなおいでよ!」と、より多くの炎症細胞を集めます。

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