中国国家統計局は17日、2021年の出生数が1062万人で、前年比140万人減少したと発表した。5年連続の減少で、1949年の建国以来、過去最少だった61年を下回った。教育費の高騰や男女の人口比のゆがみなどによる少子化がさらに加速している実態が鮮明となった。65歳以上の人口も全体の14%超で「高齢社会」に突入した。死亡数(1014万人)は出生数に肉薄し、人口減少社会の到来が目前に迫る。

【2050年には… 中国の人口ピラミッド】

 中国政府は2015年に「一人っ子政策」の廃止を決定。16年から夫婦1組に2人までの出産を容認し、21年には3人目を認めると発表した。さらに同年、これまで産児制限違反の実質的な罰金だった「社会扶養費」を撤廃して40年以上続いてきた人口抑制政策を事実上廃止する方針を示した。だが少子化が減速する見通しはたっていない。

 中国の総人口は21年末時点で14億1260万人(前年比48万人増)。出生数が大幅に減少する一方で65歳以上の人口は増え、高齢化率は14・2%と世界保健機関(WHO)などが定義する高齢社会になった。中国が「高齢化社会」(高齢化率7%)から高齢社会(同14%)に移行するのに要した期間は20年で、24年かかった日本を上回るペースで高齢化が進んでいる。

 国家統計局の寧吉哲局長は17日の記者会見で「少子化、高齢化は先進国や一部の新興国が直面する共通の問題だ」と強調。出生数が減少した理由について、出産適齢期の女性人口の減少、養育コストの高騰などによる出産意欲の減退、新型コロナウイルスの流行で若者の結婚・出産が遅れていることなどを挙げた。https://news.yahoo.co.jp/articles/06ce3a876e92849e5d28fd5b4c7486ac339992bf