絶滅した旧人「ネアンデルタール人」は飢餓状態で生存に有利な遺伝子を持っていたとする研究成果を、米国などの研究チームが発表した。
この遺伝子は現代人では一部しか持っておらず、過去の環境の変化などで失われた可能性があるという。

 ネアンデルタール人は、化石に含まれるDNAの解析から、成長ホルモンが結合する細胞の仕組みの遺伝子に変異があるが、詳しい働きはわかっていなかった。

 チームがアフリカ南部マラウイで栄養失調の子供176人を調査したところ、変異を持つ子供の方が重症化する割合が35%低かった。
また、変異を持つマウスの食事を低カロリーにすると、オスの体がメス並みに小さくなったという。

 これらからネアンデルタール人は、飢餓状態に襲われた際、変異の働きでエネルギーを節約し生き延びた可能性があるという。

 現代人では、集団によって変異を持つ人の割合に差があり、アフリカでは48%、欧州では31%、日本では13%だったという。
チームの中心メンバーで現在はノルウェー生命科学大の斉藤真理恵さんは「現代人は、食料を安定確保できるようになったことで変異の有利性が失われ、集団間で割合の差が生まれたのでは」と推測する。
成果は、科学誌「サイエンス・アドバンシズ」に発表した。

https://www.yomiuri.co.jp/science/20220118-OYT1T50064/
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