https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2022/01/ev-1_2.php

ソニーが電気自動車(EV)への参入を表明した。
EVは部品点数が少なく、高度な生産技術が不要であることから、異業種からの参入増加が予想されていた。
既にアップルが自社ブランドEVの開発を進めている現実を考えると、ソニーの参入は特段、驚くべきことではない。

だが、異業種からのEV参入にはもう1つの流れがある。
新興国企業が相次いでEV開発に乗り出しており、世界の産業構造を変える可能性が高まっているのだ。

ベトナムの「ビンファースト」は、同国初となるEVの販売を2021年12月にスタートした。
エジプトの国営自動車メーカー「ナスル」も、国産EVの開発を進めており、22年には本格的な生産を開始する。
ウガンダでは、国営企業の「キイラ」がアフリカでは初となるEVバスの量産を予定している。

新興国は近年、目覚ましい経済成長を実現しており、国民の購買力は急激に高まっている。
低価格なEVであればビジネスとして十分に成立する水準になりつつある。

これまでの時代、新興国にとって国産自動車を持つことは見果てぬ夢だった。
競争力を持つ自動車産業を育成するためには、高度な資本や技術の蓄積に加え、労働者のスキル向上も必要であり、巨額の先行投資が求められる。
自動車を生産するというのは、全てを兼ね備えた先進国の特権だったと言っていいだろう。