【ニューヨーク=吉田圭織】米国の研究者らは20日までに、日本政府が新型コロナウイルス対策として外国人の新規入国の禁止を続けていることを受け、観光目的以外の入国を許すよう求める嘆願書を岸田文雄首相宛てに提出した。21日には岸田首相とバイデン米大統領のオンライン協議が控えており、規制緩和を促す狙いがある。

研究者らは入国制限に「深刻な懸念」を表明するとともに、「国境閉鎖措置は国際社会との関係に悪い影響を与えて日本の国益を毀損している」と指摘した。「変異ウイルス発生のたびに人と人とのつながりを断ってしまうことは、日本の長期的な国益にとって現実的な戦略とは思えない」との立場も示した。

嘆願書は18日付で、コロンビア大のジェラルド・カーティス名誉教授や米マンスフィールド財団のフランク・ジャヌージ理事長兼最高経営責任者(CEO)など、100人以上の日米研究や交流振興団体の関係者が名を連ねた。

コロナ下の過去2年間、北米の大学生は日本への留学ができないため、欧州や韓国などに留学先を変更したり、専攻や語学の選択も変え始めたりしていると強調した。将来、日米同盟を支え、日本と世界との橋渡し役となる人たちが減ってしまう懸念を示した。また、日米政府は2012年以降、2国間の学生交流を倍増させる取り組みに力を入れてきたが、「労苦が水泡に帰すのではないかと危惧している」とも指摘した。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN20E020Q2A120C2000000/