この時、私は「社会主義とは何ぞや」について身をもって理解した。働いても働かなくても給料は変わらないので誰も熱心に働かない。国は衰退するだけだ、と。

東ベルリンを走る車は「段ボール製」と言われていた。本当かどうかは知らないが、性能が極めて悪かったということだろう。さらに西ドイツ経済からははるかに遅れていた。余談になるが、ある美術館に展示されている彫刻を現地の人たちが素手で触っていくのにはショックを受けた。