H3の1段目のロケットエンジン「LE-9」は、「エキスパンダー・ブリード」方式を採る
これは一般に小型エンジン向けのシンプルな方式で、大型では世界に全く例が無い

「エキスパンダーブリード方式で大型エンジンを作るのは、物理的に不可能だろう」、
と言われてきた
複雑だからでは無い、むしろ構造はシンプルだ
問題は、「熱力学に関する物理法則の限界を超えているのではないか?」という点にある

JAXAは長年の研究・経験から「可能である」と判断し、
1900億円の予算を投じてLE-9エンジンとH3ロケットを開発中
途中までは調子よく開発は進んでいた
完成間近と思われた2020年5月、ついに「魔物」が牙を剥いた

燃焼試験中にエンジンの中枢部品「ターボポンプ」のタービン羽根に亀裂が発生
物理法則の限界を超えるために、無理な設計をしたのが原因ではないか、とも言われる
それ以降1年半、苦闘の日々が続いている

どれだけ改良しても一向に問題は解決できず、開発陣は苦悩している
本日21日のJAXA会見で、改良した最新版エンジン(去年6月より試験開始)でも、
さらに新しい不具合が発見されたことが判明
ロケット完成の目処は立っておらず、再設計をどうしようかと思案中
なので、エンジン燃焼試験再開の目処も立っていない

一方で、現行機「H2A」ロケットの引退が近づいている(H2Bは引退済み)
日本のロケット開発は終わってしまうのか?
それとも不死鳥のように復活するのか?
なお2022年は、各国の最新ロケットが次々とデビューする予定