「女子高生が悲鳴をあげて大喜び」ゴミ拾い中のディズニーキャストがやっている"神対応"の中身

東京ディズニーリゾートのキャスト(従業員)は、園内を清掃中によく質問を受けるという。約8年間、清掃スタッフを務めた笠原一郎さんは「『なにをしているんですか? 』とよく聞かれる。来園者たちは『夢のカケラを集めているんです』という返事を期待しているようだった」という――。(第1回/全3回)

■アイスクリームが売れる日はキャスト泣かせ

 カストーディアルキャスト(※1)は「歩くコンシェルジュ」として、どんなに悪天候の日でもオンステージをひたすら歩きまわって清掃業務やゲストの案内にいそしむ。雪が降ろうが嵐が来ようが、仕事からは逃げられない。

 カストーディアルキャストの仕事は、オンステージを清掃する業務とレストルーム(トイレ)を清掃する業務の2種類に分けられる。春や秋の時期、晴れて気持ちの良い日はオンステージ担当がいい。

 反対に猛暑や極寒、そして雨や雪の日、レストルーム担当は「勝ち組」と呼ばれてみんなからうらやましがられる。真夏の炎天下、オンステージはキビシイ。地面からの照り返しが強烈である。そのため、実際の気温よりも体感で5℃は高く感じられる。

 暑い日にはポップコーンが売れないかわりにアイスクリームやアイスキャンディが飛ぶように売れる。これがカストーディアルキャスト泣かせなのである。溶けたアイスが地面に垂れてシミになる。放置はできないので、モップを持ってきて拭く。そうしているあいだにも、また別のところでアイスが垂れてシミができる。

 さらに自販機前では、噴き出したコーラで地面を汚しているゲストがいる。ここにもモップを持って駆けつける。私は汗っかきなので、真夏は掃除中、汗が噴き出してきて粒になってメガネを濡らす。シャツを濡らす。ひどいときにはズボンまで濡れる。

 いつゲストに話しかけられるかわからないため、身なりは整えておかなければならず、大量の汗は随時、ペーパータオルで拭いていた。ところが、ある日の朝礼でSV(※2)から「ペーパータオルは業務用の使用に限り、汗拭きに使わないように」という禁止令が出た。しかし、ハンカチではすぐにびしょ濡れになり、役に立たなくなる。タオルを首からかけて作業をするわけにもいかない。

 やはり夏の日のカストーディアル業務にはペーパータオルが必須なのだ。SVのケチな禁止令を無視して私は大量の汗をペーパータオルで拭(ぬぐ)い続ける。

 (※1)おもにパークの清掃業務を担当するキャスト。キャストの数ある職種の中でも上位の人気を誇る。
(※2)スーパーバイザーの略。現場ごとに配置され、キャストをまとめて指導・監督するプレイングマネージャー。カストーディアル部門ではロケーションごとに数名配置されている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/588169aec9c402600f4976a4f2847018d11d2537?page=2