「コロナ下の友達作り」の正体 街で連絡先交換、記者が接触続けると
2022/1/24 06:00(最終更新 1/24 09:30)

 東京や大阪の主要駅前で「いい居酒屋知らない?」と声をかける若者の集団が、実は「マルチ商法」の疑いがある組織の末端だった。若者は不特定多数に近づき連絡先を交換。「友達」として飲み会やフットサルで交流を深めつつ「ビジネスオーナーになって、一緒に夢をかなえよう」と商品購入を持ちかける。新型コロナウイルス下での人恋しさを逆手にとった驚くべき手口とは。【小鍜冶孝志】

居酒屋の場所聞いてきた男の正体

 東京都杉並区のJR高円寺駅前。ラフな服装をした20〜30代の男2人が、行き交う人を品定めするように目で追っている。若い男性を見つけると、2人は目配せし、親しげに話しかけた。「近くでいい居酒屋知らない?」。突然の出来事に驚きながら、男性は場所を教えた。2人は年齢や職業などを矢継ぎ早に質問。
「ありがとう。今度飲みに行こう」。1人が携帯電話を出し、男性は連絡先交換に応じた。しかし男2人は男性が紹介した店に目もくれず、再び1人で歩く若者を見つけては「居酒屋知らない?」と声をかけた。

 記者は昨年春から夏にかけて、新宿、渋谷など都内の主要駅で、少なくとも90人が同様の声かけをするのを確認した。SNSでも「『いい居酒屋知らない?』と声をかけられた。何者?」などと話題になっており、記者も3回、声をかけられた。そこで居酒屋の場所を尋ねてきた30代男性のNと連絡先交換に応じ、約3カ月間、接触した。

https://mainichi.jp/articles/20220123/k00/00m/040/229000c
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