栃木県那須町で2017年3月、登山講習中の大田原高校の生徒7人と教諭1人が死亡した雪崩事故で、遺族の一部が県や引率3教諭などに事故の責任を認めて謝罪するよう求めた民事調停の協議が24日、宇都宮簡裁であり、調停は不成立に終わった。遺族は近く損害賠償を求めて宇都宮地裁に提訴する方針。 

「県側には話し合う態度はみじんもなく、歩み寄りはなかった。彼らの主張は2年間一歩も動かなかった」。亡くなった奥公輝さん(当時16)の父・勝さん(50)は記者団に沈痛な面持ちで語った。

遺族側は繰り返し、講習会を引率していた3教諭に出席を求め、謝罪を求めてきたが、県側は最後まで応じなかった。

調停は亡くなった8人のうち、奥さんら6人の遺族が2020年3月、宇都宮簡裁に申し立てた。県と講習会を主催した県高体連、大田原高校長(当時)、引率教諭3人=業務上過失致死傷容疑で書類送検=の6者に対し、事故発生の責任を認め、遺族側に「真摯(しんし)に謝罪」することを求めた。遺族は雪崩事故は冬山登山の危険性を軽視したことによるもので「天災ではなく人災」と訴えていた。

調停協議はこれまで8回開かれた。遺族側は3教諭が出席した上で事故について謝罪することを再三求めたが、3人が出席することはなかった。遺族側によると、代理人も立てていないという。

遺族側は3人の出席がなくても成立する和解案として、県が3人の過失を認めた上で県が3人に賠償を求める案を提示したが、県は応じなかった。

■憤る遺族「二枚舌だ」
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