皇宮のあらゆる部屋の中でも、魁渡かいとのお気に入りは厨房だった。

 ラーメンスープ、餃子、カツカレーの香ばしい匂いが廊下を漂い、魁渡が腰かける小窓まで届いていた。
彼は靄の中にいるかのように息を吸い、貯蔵庫へと降りると可能な限り足音を立てないように努めた。
軽脚けいぎゃ先生の教えの通りに。


神河:輝ける世界
メインストーリー第1話:永岩城の異邦人
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