[香港 26日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 北京冬季五輪の開催国である中国は、アイスホッケーやアルペンスキーなどの競技にはさほど強くないかもしれない。しかしハイテク分野では金メダル獲得の有力候補だ。今大会で中国は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためにアプリやオートメーションなどの技術を導入する。デジタル通貨や水素エネルギーなどの分野でも、実力を見せつけようと手ぐすねを引いている。

2018年の平昌大会で韓国は、サムスン電子など国内企業が開発した次世代通信規格「5G」技術を観客向けにいち早く導入してみせた。1964年の東京大会で世界初となる新幹線をお披露目した日本は、昨年の東京大会でロボットを大量に投入。選手の出迎えや荷物の運搬で活躍し、やり投げや砲丸投げでは投てき物の回収もロボットが行った。

中国は厳しい「ゼロ・コロナ」政策を実施しており、政府は全力投入を余儀なくされている。2月4日に開幕する大会では、施設やホテルなどを他の住民から完全に隔離する「バブル方式」が導入される。「バブル」の中では選手と約2万人の地元ボランティアやスタッフが毎日新型コロナ検査を受け、スマートフォンのアプリが健康状態を追跡・監視する。食事はロボットが調理し、配膳する。

さらに中国人民銀行(中央銀行)はデジタル通貨を展開し、大会参加者が選手村での飲食や交通機関利用の支払いに利用できるようにする予定だ。政府はこの分野の発展ぶりを誇示したくてうずうずしている。この2年間、当局は国内主要都市で地道にデジタル人民元を試験導入し、政府統計によると取引高は累計876億元(138億ドル)相当に達している。

また中国は環境保護国としてのイメージも押し出すだろう。特に目を引くのは、700台余りの水素燃料バスが選手の移動や機材の運搬に使用されることだ。これは2025年までに北京で1万台の水素自動車を走らせるという野心的な計画の一部と位置付けられている。水素燃料のトラックとバスは2020年に中国全体で1万台にも満たなかった。長城汽車や福田汽車などが水素燃料車の開発を競っている。

https://jp.reuters.com/article/beijing-olympics-breakingviews-idJPKBN2K00BI