2019年に大阪市の小学6年女子児童と茨城県内の女子中学生を誘拐したなどとして、わいせつ誘拐や未成年者誘拐などの罪に問われた栃木県小山市犬塚、無職、伊藤仁士被告(37)の論告求刑公判が26日、水戸地裁(中島経太裁判長)で開かれた。検察側は「計画性が高く、謝罪もない。人の尊厳を蹂躙(じゅうりん)した、悪逆非道な鬼畜の所業」と非難し、懲役24年を求刑した。弁護側は無罪を主張し結審した。

論告で検察側は、伊藤被告が当初、中学生の悩みに寄り添うようにして誘って家に連れ込み、自己否定的な内容をノートに書かせたなどとして、「強度に支配し、被害者の精神的苦痛は甚大」と指摘。処罰感情も厳しいと説明した。女児誘拐は同世代の中学生を利用しており、「犯行は極めて卑劣。同種事案でも相当に悪質」と糾弾した。

最終弁論で弁護側は、被害者2人に自殺の動機があり、自宅に迎えたのは誘拐行為だったとしても、「生命に対する緊急避難に当たる」と主張。中学生とは真剣な交際だったとして性的暴行も否定した。被告が中学生を残して外出した点に触れ、「中学生は自発的な滞在を望んだ」と述べた。

最終意見陳述で伊藤被告は「少女たちには最善を尽くした」と自らの正当性を訴えた。

判決は3月22日に言い渡される予定。

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