【柿沼】逆に、『三国志』の著者として知られる陳寿は、歴史家としては有名ですが、官界でのキャリアのスタートはいまいちでした。
失敗した理由は、父の喪に服していたとき、その途中で具合が悪くなったので、お手伝いのおばさんに薬を差し入れさせ、それを弔問客にみられてしまったこと。
そのため「陳寿は服喪期間中に女性と接した」みたいな理屈で延々と叩かれることになりました。

 ――コロナ禍の自粛警察みたいですね。異文化に見えて、人間のやることは変わらない。

 【柿沼】ああ、そうかもしれませんね。ちなみに個人の努力で出世する方法は、自粛警察に勝つほかに、中国西北部にある万里の長城あたりの辺境であれば、腕っぷしの強さで道を切り開く手もあるにはあります。
もっとも、三国志に登場する「西涼の錦」馬超は、じつはすごく名家の出身でして、本当の腕一本の叩き上げは呂布くらいです。

 ――呂布、評判は悪いですががんばったんですねえ……。

 【柿沼】呂布の評判が悪いのは、実際の振る舞い以上に、家柄がないので馬鹿にされたことも大きいでしょう。がんばったのに、気の毒ではあります。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e75afe6f16ee3fe3db2da1bb4b28b8f18c9f9b3a