ロシアとウクライナ 戦車を狙うドローン...ドローンを惑わす電子戦車輌 そして・・・
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数で押すロシアに対して、ウクライナは、昨年(2021年)のうちから、ある種の対策を取り始めていた。

2021年12月24日、クリスマス・イブの日に、ウクライナ大統領府は、米国からジャベリン対戦車ミサイルを受領し、さらに同年7月から、トルコと協力しウクライナ国内でトルコのバイラクタルTB2型ドローンの生産をウクライナ国内で行っていることを表明した。

このTB2が、一躍注目されたのは、2020年ナゴルノカラバフ紛争で、どちらも旧ソ連を構成していたアゼルバイジャンとアルメニアが衝突。

事実上アゼルバイジャン軍の勝利に終わったが、その勝利のカギとして注目されたのがアゼルバイジャン軍のドローン装備とその戦術だった。

防衛省の教育訓練研究本部が公表した「ナゴルノカラバフに見る無人兵器」という論文によれば、「緒戦におけるアゼルバイジャン軍の戦車等地上部隊の損害は137輛である一方、アルメニア軍の損害は838輛で、アゼルバイジャン軍に比し約六倍もの損害を出している。

操縦ステーションとTB2の間は、通信やデータリンクで結んでいなければならない場合もあるが、ロシア軍は通信やデータリンクの妨害を得意とするクラスハ4等の通信妨害車輌を保有している。

ロシア系航空ニュースネットメディアAvia.Pro(2020/10/21)によれば、ナゴルノカラバフ紛争時に「アルメニア北西部の都市ギュムリ近郊にあるロシア軍基地に接近した、バイラクタルTB2ドローンに対し地上のクラスハ4電子戦システムを使い、48時間で9機を無力化した」と伝えている。

こうした中、興味深いのは、ウクライナのドローンメーカーが空中を徘徊する爆弾とも呼ばれる「ST-35サイレント・サンダー」という小型の使い捨て軍用ドローンを開発したこと。

メーカーの説明では高性能爆薬の他、それよりはるかに強力な威力の気体爆薬を装填し、最大60分飛行。敵の電子戦システム、レーダーや、指揮通信システムの破壊を行うという。

クラスハ4などロシアの電子戦装備を意識しているなら興味深い。

ウクライナ情勢は、前代未聞のゲーム・チェンジャー同士がにらみ合う事態につながるかもしれない。