受験>中学受験>「人生の選択肢を増やしてあげたい」という親は中学受験に不向き!?「中学受験に向かない親」3つの特徴

「中学受験に向かない子どもはいなくても、中学受験に向かない親はいます」と語るのは、『なぜ中学受験するのか?』(光文社)を出版した教育ジャーナリストのおおたとしまささん。
子どもだけでなく、親の関わりも大きい中学受験。向かない保護者とは、一体どんなタイプなのでしょうか。中学受験現場を数多く取材してきたおおたさんに、3つの特徴を伺いました。

この記事のポイント

中学受験に向かない親@:偏差値で区切って考えている人
中学受験に向かない親A:「人生の選択肢」を増やしてあげたいと言う人
中学受験に向かない親B:「よい教育」を与えたいと言う人
中学受験に向かない子はいない。どんな結果になっても冒険の一部
中学受験に向かない親@:偏差値で区切って考えている人

おおたとしまささん(以下おおた):中学受験に向かない親御さんの1つめは、偏差値的なもので区切って考えるタイプです。
「最低でも偏差値60以上」「御三家に入れなかったら意味がない」と言うかたがいますが、子どもが苦しむので中学受験はやめたほうがいいと思います。

おおた:中学受験で「人生の選択肢が増える」と思い込んでいる親御さんも、向かないと思います。

おおた:大学で医学部に入れば、お医者さんになるという一つの選択肢は増えるかもしれません。ですが人生の選択肢はそれ以外にも無数にあるものです。
「選択肢を増やす」ことにこだわればそのうちの0.00何%を増やすことができるかもしれませんが、選択肢にこだわることによって失うもののほうが大きいでしょう。

おおた:私大の法学部ではなく東大法学部に入れば選択肢が増えるだろうと、一浪して東大法学部に入った人がいます。
それで「せっかく東大法学部に入ったのだから(エリートではない)町弁護士なんてできない」と言うんです。こういうかたに取材でよく会いますが、
選択肢を広げるつもりで逆に自分の人生を狭めていますよね。

おおた:これもよく聞く言葉ですが、「よい教育を与えたい」という親御さんです。「よい教育」と言いながら実は有名かどうかにこだわっていたり、
名門中に対して幻想を抱いていたりすることがあります。

おおた:学校が子どもの人格をデザインするとか、行く学校で人生が変わるといったことです。でも、実際に学校にそこまでの影響力はありませんよね。
それなりの、特に私学ではその学校の匂いのようなものが多少身に付くことはありますが、その子はその子でしかありません。

「Aという学校に行かないとよい教育が受けられない」と子どもに言っていると、Aに行けなくてBに進学することになった時、
子どもの人生が「自分はBにしか行けなかったから」と言い訳をするものになってしまいます。
いちばん身近な大人である親が「あなたならどこでだってやっていけるよ」と思っていれば、どの学校に進んでもその子の人生がめちゃくちゃ変わるようなことはないはずです。

──子どもの本気度を高めようと、つい脅かす言葉を使っているかもしれませんね。
「志望校に落ちてしまった場合の子どものメンタルが不安でうるさく言ってしまう」ともよく聞きます。

おおた:最初はみんな3つの特徴にあてはまると思います。中学受験生の親としてだんだん成長すればいいんです。
そもそも2021年度の中学受験の総合格率は約96%で、女の子の場合は約106%です。実は2019年度までは総合で100%を超えていました(首都圏模試センターより)。
男の子はやや厳しくなってはいますが、えり好みさえしなければ、椅子がまったくない状態ではないんですね。
もちろん本人が納得できない進学をする必要はないですし、志望校に受からず公立中学に進むこともあるかと思います。
その場合はそのこと自体を冒険の一つだと思って、いかに今後の人生の糧にするかを考えてほしいですね。

https://benesse.jp/juken/202201/20220121-1.html