https://news.yahoo.co.jp/articles/0e26fcc7249ef69d8bdfbd5c5f32f941451dcb28

炎上したミシュラン掲載店は自業自得も…「1年で4割廃業」ラーメン業界の過酷

〈被害女性従業員が涙の告発〉〈ミシュラン掲載有名ラーメン店主が傷害事件で逮捕されていた〉──21日付の文春オンラインにそう報じられた東京・自由が丘の行列ができるラーメン店が“火だるま”になった。

店主は、昨年9月から働き始めた女性従業員に執拗なまでに罵声を浴びせかけ、殴る蹴るの暴行を加え、11月に傷害容疑で逮捕。その後、略式起訴され、罰金刑を受けたという。

「21日に報じられるや、グルメサイトのレビューに店主に対する罵詈雑言が書き込まれ、評価も一時は星1つと最低になるなど袋叩きの状態になりました。ネット上に本人や家族の実名までさらされています。しばらくは再起不能でしょう」(グルメ誌ライター)

 記者も先日、店を訪ねてみたが、〈しばらくの間、休ませて頂きます〉という張り紙が(写真)。閑散として、ミシュラン掲載店の面影はなし。別のあるラーメン店主は「今回の騒動は自業自得でしょうが、氷山の一角ですよね」とこう続ける。

「飲食店の人手不足は深刻ですが、体育会系のノリで怒鳴ったり殴ったりなんて店主はザラにいます。少々荒っぽいことをやって次々と辞めていっても、人気店、有名店ほど、そこで修業した実績が欲しい弟子が集まりやすい。弟子も独立するまでの数年の我慢と思って耐えるので、表沙汰になりにくいんです」

 もっとも、ブラックな職場に耐えたからといって、明るい未来が約束されているわけでもない。iタウンページに「ラーメン店」で登録されているのは全国で約2万4000軒、都内だけで2400軒近くある。

「中小企業庁のデータによると、創業5年以内に6割の会社が潰れています。ラーメン店はもっと早くて、1年以内に4割が、3年以内に7割が閉店するともいわれる。都内だけでもわずか1年で1000単位のラーメン店が消えている計算になります」(経済ジャーナリスト・長崎憲二氏)

 開店したばかりのラーメン店が潰れたと思ったら、すぐに新しいラーメン店ができて驚いたなんて経験もあるだろう。

「廃業する飲食店の譲渡を専門に扱う会社もありますし、このコロナ禍でもラーメン店で独立開業したい人も後を絶ちません。入れ代わり立ち代わりが激しいわけです。客の舌も肥えていますし、“並の店”では人員確保もままならない。誠実にやっているだけでは、レビューにあることないこと書かれ、客足が遠のいて廃業、なんてケースも珍しくありません」