ことの始まりは1月21日。菅氏がツイッターにこう投稿したことに端を発する。

 <橋下氏をはじめ弁舌は極めて歯切れが良く、直接話を聞くと非常に魅力的。しかし「維新」という政党が新自由主義的政党なのか、それとも福祉国家的政党なのか、基本的政治スタンスは曖昧。主張は別として弁舌の巧みさでは第一次大戦後の混乱するドイツで政権を取った当時のヒットラーを思い起こす。>

■菅氏の発言は「私人」で済まされるものではない

 これに維新側が激怒。立民に抗議文を提出し1月中の回答を求めた。しかし立民は抗議に回答せず、泉健太代表はインターネット番組で「菅氏は個人の発言だと言っている。なぜ立民に抗議文を持って来るのか」と語った。

 菅氏のツイートは、確かに個人的見解ではある。しかし、政治家が私的な場面で問題発言をして責任を問われた場合、党が矢面に立って謝罪したり、当事者の処分を下したりすることはよくあること。党最高顧問で首相経験者でもある菅氏の発言は「私人」で済まされるものではない。ましてや「ナチス・ドイツ」「ヒトラー」「ホロコースト」などの言葉は軽はずみに使うべきものではない。

 たとえば2013年、当時副総理兼財務相だった自民党の麻生太郎氏は「ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていた。だれも気づかないで変わった。あの手口を学んだらどうか」と発言して批判を受け、撤回に追い込まれている。さらに2021年には、東京五輪の開会式のディレクターだった小林賢太郎氏が、かつてホロコーストを取り扱ったコントを演じていたことが分かり、解任された。https://news.yahoo.co.jp/articles/77c178c148f45b6caf5ee3d992c1b7142d0c04fb?page=1