高齢者施設で新型コロナウイルスの陽性になった職員が、陽性の利用者を介護する――。「第6波」の急激な感染拡大で人手が不足し、介護現場ではこんなことが起きている。先行して感染者が増加した沖縄県にある施設の事例を探った。

「介護施設は休業することができない。利用者を見続けないといけない」

沖縄県でグループホームを経営する男性はそう話す。この施設では1月下旬、利用者の1人が発熱し、コロナへの感染がわかった。その後の検査で利用者9人全員と、職員12人中9人の陽性が確認された。

県内の病床は逼迫(ひっぱく)していて受け入れは難しく、ほとんどの利用者が軽症だったため、施設内で療養してもらうことになった。

でも職員が足りない。日中は3人、夜間は2人が出勤して回す必要がある。

県内には人員が不足した場合、ほかの高齢者施設から職員を派遣してもらう仕組みがある。調整を担う県の委託業者に頼んだが、施設での感染が相次ぎ、「すぐに回せる人材はいない」との回答だった。

食事や排泄(はいせつ)の介助などができなくなると利用者の命に関わる。「どうしようもない状態だった」

こうしたなか、感染した職員たちが出勤を続けたいと申し出た。男性は無症状で基礎疾患のない職員に対し、「出てもらえる状態なら出てほしい」と頼んだ。
https://www.asahi.com/articles/ASQ247G7GQ24UCLV00Q.html?iref=comtop_Topnews2_05