新型コロナウイルス感染拡大の影響で足踏み感のあるグローバル化。国境を越えて人々が自由に行き交うことが難しくなり、外国人観光客の姿が街から消えて久しい。だが、経営者や働き手、さらには顧客や消費者としての外国人を抜きに、中部の街は成り立たない。街を支える外国人の実態を探った。

「『跡継ぎはグェンさんだ』と伝えると、取引先は皆安心する」

紙の断裁加工を手掛ける長尾紙工(名古屋市西区)の長尾安祐代表はこう言って目尻を下げる。65歳を過ぎたあたりから後継者についての質問が増えたというが、長尾氏の心は決まっていた。ベトナム国籍の社員グェン・ドゥック・チュオンさんを自らの後任の社長に据え、経営を任せることにした。

同社は1969年に設立。社員は代表を含め6人。2008年に技能実習生として入社したグェンさんはその後正社員となり、10年以上長尾紙工で勤めている。グェンさんは「色々と仕事のチャンスをいただき、自信にもつながった」と話す。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD1129Q0R11C21A0000000/