https://eiga.com/news/20220209/7/
中国で配信されている検閲版「ファイト・クラブ」が、ソーシャルメディアでの批判を受けて修正されることになったと、米ハリウッド・レポーターが報じている。

「ファイト・クラブ」は、チャック・パラニュークの小説をデビッド・フィンチャー監督が映像化したカルト映画として知られている。心に問題を抱える青年ジャック(エドワード・ノートン)が、ブラッド・ピット演じるタイラーと知り合いになったことから、拳闘の秘密集会を取り仕切ることになり、やがてテロ集団の仲間入りを果たすというストーリー。

テンセントビデオで配信中の「ファイト・クラブ」は、中国の検閲を経てエンディングが大幅に改変されているため、ソーシャルメディア上で論争を呼んでいた。

本来のエンディングは、ジャックが自分の口内に銃を突っ込んで発砲すると、タイラーが倒れた後に消滅。その後、マーラ(ヘレナ・ボナム=カーター)と高層ビルが爆破されるのを見つめるというシーンだ。だが検閲版は、ジャックが口内で銃を発砲し、タイラーが倒れたところで暗転。その後の展開が以下のテロップで伝えられる。「タイラーが残した手がかりをもとに警察は迅速に全計画を把握し、犯罪者全員を逮捕。爆発を未然に防ぐことに成功した。裁判後、タイラーは治療のために精神科病院に入れられた。タイラーは2012年に退院している」

つまり、テロは未遂に終わり、犯罪者は全員逮捕され、国家の安全は保たれたという設定に変えられている。このエンディングを見た中国の映画ファンは、検閲がいきすぎていると批判。また、タイラーはジャックの想像の産物であるため、話の辻褄が合わないという声も出ていた。

こうした事態を受け、テンセントビデオでは現在、オリジナル版とほぼ同じバージョンに差し替えられている。唯一の違いは、タイラーとマーラのセックスシーンがカットされている部分だという。なお、中国でいったん変更が施された作品が元に戻されるのは、非常に稀である。