ついに家宅捜索!4億級納車トラブル問題に浮上した「新たな疑惑」

長野県・長野市にある自動車販売店「デュナミスレーシング」で新車購入のためにお金を払った
客に対して、2年以上も納車されず、返金もほとんど行われていない問題。経営者のO社長が
「行方不明状態」となっているなか、長野県警は同社を家宅捜索するなど、本格的に動き始めた。

ここでさらに、購入者の証言で新たな問題が浮上した。同社から納車された顧客の車検証を確認
したところ、車検証の「所有者」の名義が、購入者の名義ではなく、ディーラーの名義になっていた
ことがわかったのだ。

何が問題かと言えば、その車を売った自動車販売店(以下、モーター屋)やディーラーが何らかの
理由で倒産した場合、債権者の意向によっては、買った顧客の車を引き上げられてしまう可能性も
出てくるのだ。顧客には一切の責任がないにもかかわらず、だ。

なぜ所有権がディーラーにあったのか?デュナミス社から購入したAさんはこう明かした。
「買って数年間は気づかなかったんですが、自動車保険の担当者から指摘されて、車検証の所有者欄が、
私の名前ではなくディーラーの名前になっていることを知りました。現金で買っているのになぜ…?と
不思議に思い、O社長に聞いたんです。

明らかにおかしいので、私の名義に戻してほしいとも伝えました。そうしたら、『あなたの名義にするの
はとても手間のかかる作業で、手数料3万円がかかる』と言われたのです。バカバカしくなって諦めました」

「被害」を訴える人が100人は下らず、「被害総額は4億円級に上るのでは」とも言われる今回の
「新車納車トラブル」。このトラブルの原因を、一般的な車購入の流れに置き換えながら考えてみよう。

まず、Xさんが新車を購入するとき、Xさんはモーター屋から買うが、そのモーター屋はディーラーに車を
発注し、その車をXさんに売る。このとき、現金一括でXさんが車を購入した場合、原則として車検証の
所有者名義はXさん名義になる。

しかし、Xさんがディーラーや信販会社を相手にローンを組んで購入した場合は、残債がゼロになるまで
所有者はディーラーや信販会社の名義のままとなる。これを「所有権留保」という。この場合、Xさんは
「使用者」になる。

所有者とは文字通り「車を所有している者」で、車に関わる全ての権利を持つことになる。誰かに売却するのも
自由だし、別の人の名義に変更することも可能だ。一方で「使用者」はただの車の使用者である。Xさんが
「使用者」の立場でいる限りは、売却や別の人への名義変更の権利は持つことができず、あくまでも
「使用を許された人」でしかない。

この場合、モーター屋やディーラーが何らかの理由で倒産した場合、債権者は使用者の車をその自宅から
引き上げることもできる。つまりXさんの車が、突然奪われてしまうこともあるのだ。繰り返しになるが、
「使用者」に所有権はないので、裁判をしたとしてもあっさり負けてしまう。
それぐらい「所有権」は重要なことなのである。
https://news.livedoor.com/article/detail/21654474/