江口寿史が語る、「パクリ」と「模倣」を分かつもの

江:いえいえ、よく言われるんでね。
それにしても、世の中にはもっと素敵なイラストがいっぱいあるんですよ。
それなのに、おれのばかり真似しなくていいんじゃない? って。

楠見清(以下「楠」):(笑)。

江:それは多分、みんな僕の絵が一見シンプルに見えて真似しやすいと感じてるっていうことだと思う。
でも、40年の積み重ねがあってたどり着いたシンプルなんだよね。
そこを飛ばして、「真似しやすそうだからやってみた」っていうのは、心ないことですよ。

パクリが悪いとは言いません。僕も過去、いろんな人からパクってますし、影響を受けてます。

だけど上手くなろうって向上心がある人とか、負けん気のある人は、「あの人の絵に似てる」とかって言われるのが嫌なはずなんです。

僕もそう。そういう人は、最初はだれかの模倣をしていても、自分の絵になっていくの。そういう人のことは応援しています。
ただ、広告に関して言えば「あの人みたいな感じで」って頼むクライアントと、
「こんなもんだろう」って描くイラストレーターと、それらの見分けがつかない消費者。これ、三者とも悪いですよね(笑)。

僕は、ものすごくいろんなイラストレーターや漫画家をインスタでフォローしててさ。
世界中の上手いやつが描いたのを見たりしていれば、僕の絵とパクリの絵が違うのは、すぐわかるはずです。
https://shueishaintbooks.com/n/n95fbea837309