永井さんに再び「デビルマン」を描くことになった理由、ギャグマンガからハードな作品まで手がけてきた執筆の裏側を聞いた。

中略

 ◇「デビルマン」を描く苦しみ

 永井さんは、2015年から「ビッグコミック」で「デビルマン」の新作「デビルマンサーガ」を連載している。
連載開始までの道のりは平たんではなく、当時の編集長が1年がかりで「もう一度、『デビルマン』を描いてほしい!」とオファーした。
永井さんは「『デビルマン』を描いていて、とにかくつらく、しんどかった。だから、二度と触りたくなかったんです。
年齢的にも『デビルマン』を描くのはしんどい。あのころは若さもあったからできた」と踏ん切りがつかなかったという。

 「デビルマン」を描いていた当時は「心の奥底から引っ張り出し、内面に入っていく感覚だった。ギャグマンガは、笑いながら描くんだけど、深く考えて描くのはつらい。
描いているときは、キャラクターになり切っているので、誰かが死ぬと、自分も死ぬような感覚があったんです」と明かす。

 「デビルマン」ではヒロイン・牧村美樹の死など衝撃的なシーンも多い。「美樹ちゃんが死んだときはショックでね。ものすごくつらかった。
最後は、全人類を滅ぼしたような罪の意識が残った。とてつもなく孤独で、自分を罰しているようだった」と苦しみながら描いたという。

 だからこそ「デビルマンサーガ」を描くのは覚悟が必要だったが、「『デビルマン』の根底にあるのは軍事化。それを悪魔で表現している。宗教的な悪魔ではないんですね。
そこを明確にしていけば、違う『デビルマン』になるかな?と考えた。
今の政治的な状況を踏まえながら、一つの未来の方向を訴えていけば、大人の読者も巻き込んでいけるかもしれない」と連載に踏み切った。

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