ヘイトスピーチをした人や団体を公表する大阪市の条例が、表現の自由を保障する憲法に反するかどうかが問われた訴訟で、
最高裁第三小法廷(戸倉三郎裁判長)は15日、合憲とする初の判断を示した。
「表現の自由の制限は合理的で必要やむを得ない限度にとどまる」と述べた。裁判官5人の全員一致の意見。

 大阪市は大阪府内でヘイトスピーチが相次いだことから、2016年1月に全国で初めてヘイトスピーチ抑止条例を制定。
有識者でつくる審査会がヘイトスピーチと判断した場合、市がその内容や氏名、団体名を公表するとした。

 市は在日コリアンを「殺せ」「たたき出せ」と繰り返す集会の動画を投稿した人物について、同条例に該当すると認定。
氏名が分からなかったことから投稿者のハンドルネームを公表した。
こうした市の動きに対し、市内在住の男女8人が「表現の自由を萎縮させる」と反発し、関連経費は違法な支出だと主張して住民訴訟を起こした。

 一審・大阪地裁、二審・大阪高裁も、条例には表現の自由を制限する面があると認めつつ、規制の必要性の高さや
有識者の意見を聴く仕組みを踏まえ「合理的でやむを得ない範囲」とし、合憲と判断していた。

https://www.asahi.com/articles/ASQ2H4VY9Q2HUTIL008.html