ジョーカー事件に映ったもの 2021年10月、京王線の車内で無差別刺傷事件を起こした青年は、犯行時にジョーカーの仮装をしていた。逮捕後には「ジョーカーに憧れていた」とも供述している。ジョーカーとは、アメリカンコミック「バットマン」シリーズに登場する悪役のことで、スーパーヒーローの宿敵としてこれまで様々なキャラクターが造形されてきた。 なかでも記憶に新しいのは、不運な出自を背負い、社会から疎外された人物として描かれた2019年公開の映画『ジョーカー』のそれだろう。この映画に登場するジョーカーは、ある神経障害によって幼少期から他者との交流に困難を抱え、成育した家庭環境も劣悪なために人生の辛酸を舐めさせられていた。そんな境遇のなかで狂気へと追い込まれていった彼は、地下鉄内で起こした銃撃事件への反響の大きさから、社会に混乱をもたらすことにやがて快感を覚えるようになる。
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