第1は経済成長への影響である。少子化による生産年齢人口の減少により、経済成長に対する労働投入の寄与は低下していくと考えられる。また、人口に占める高齢者の比率の高まるなかで、国全体としての貯蓄率が低下すれば、資本投入による経済成長への寄与も小さくなっていく可能性がある。このように、高齢化・人口減少は、長期的に経済成長を決定する主要な生産要素である労働、資本の伸びの減少等を通じ、経済成長を鈍化させる懸念がある。

第2は公的部門への影響である。人口減少やそれに伴う経済成長の鈍化により税収が減少する懸念があるほか、少子・高齢化の進展に伴い社会保障制度の支え手である現役世代に対する受給世代の比率が高まることにより、社会保障制度をめぐる状況は厳しさを増すことが見込まれる。また、現在の給付水準を維持しようとすれば、現役・将来世代の費用負担が大幅に増加することになる。このような財政・社会保障制度をめぐる環境の悪化と世代間格差の拡大は、公的部門の持続可能性を大きく低下させるのではないかとの懸念がある。

第3は以上のような社会保障負担を中心とする国民負担率の過度の高まりが、現役世代を中心とする家計や企業の可処分所得を低下させるとともに、労働意欲や設備投資意欲を阻害すること等により経済成長を更に低下させるのではないかという懸念である。

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