「高輪築堤は国際的に重要な遺産」 ユネスコの諮問機関イコモスがJR東に解体中止求める警告
2022年2月18日 06時00分

 1872(明治5)年の鉄道開業時、線路を敷くため東京湾の浅瀬に築かれた「高輪築堤」(東京都港区)について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関「国際記念物遺跡会議」(イコモス、本部パリ)は、国際的にも非常に重要な遺産だとして、調査に伴う解体をやめるよう求める「ヘリテージアラート」を出し、JR東日本の深沢祐二社長らに宛てて文書を送付した。(梅野光春)

 イコモスは、世界文化遺産の登録審査を行う機関。高輪築堤を「日本の近代化の出発点であり、日本と(建設指導に当たった)英国の技術を合わせた構造物が、非常に良い状態で残っている」と評価。アラートでは、遺構の重要性を広く知らせないまま解体・再開発を進めることは、国や都の文化財保護行政上、深刻な懸念材料で、あしき前例を残すとしている。

 アラートは、世界遺産に匹敵する遺構が壊されそうな場合などに出る。今回は1月28日付。岸田文雄首相や東京都の小池百合子知事ら行政のトップに、保存へ最大限の努力を求める要望も記した。今月15日にウェブ上で公開した。

 高輪築堤はJR田町―品川駅間で1・3キロにわたり確認。うち120メートルは国史跡として保存が決定、680メートルはほぼ解体された。他の約500メートルの保存は、今後策定される再開発計画と合わせて検討する。

※略※

https://www.tokyo-np.co.jp/article/160844