https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220218/k10013491751000.html

「内密出産」の赤ちゃん 熊本市長の職権で戸籍作成へ

熊本市の慈恵病院が独自に導入している「内密出産」を希望する女性が出産した赤ちゃんについて、熊本市と病院は市長の職権で赤ちゃんの戸籍を作成する方針で一致しました。大西市長は「病院と市で母子をどのように守っていくか考えるスタートラインに立てた」と話しています。

熊本市の慈恵病院は、予期せぬ妊娠をした女性の「孤立出産」を防ぐため、病院以外に身元を明かさずに出産する「内密出産」を独自に導入していて去年12月、内密出産を希望する10代の女性が赤ちゃんを出産しました。

病院は、赤ちゃんの出生届について親の名前を書かず空欄のまま市に提出することを検討しましたが、法務局が今月10日、親の名前を伏せて出生届を出すことが犯罪に当たるかどうかは捜査機関が個別に判断するものだなどとしたうえで、出生届の提出がなくても、戸籍の記載ができるよう出生日と出生地の情報を市区町村長に提供するよう求めていました。

これを受けて熊本市と病院は、赤ちゃんの戸籍や今後の養育についての課題を整理するための会合を18日非公開で開き、大西市長の職権で赤ちゃんの戸籍を作成する方針で一致しました。

協議のあと、大西市長は「病院側から赤ちゃんの出生日と出生地の報告があり、きょうから戸籍作成に向けた手続きに入っていく。病院と市で母子をどのように守っていくか考えるスタートラインに立てた」と話しています。

また、慈恵病院の蓮田健院長は「大西市長が『任せなさい、協力します』と言ってくれたので感謝しています。今後、病院として、赤ちゃんの出自の情報をどのように管理していくかが課題になってくる」と話しています。