ガソリン補助、上限引き上げへ 政府方針、ウクライナ緊迫化で

 政府は18日、ガソリン価格高騰を抑えるために始めた石油元売り会社への補助金について、1リットル当たり最大5円の上限額を見直す方針を固めた。25円前後まで引き上げる方向で調整している。ウクライナ情勢の緊迫化もあって原油価格は上昇基調にあるため、最大5円の上限のままでは基準とする全国平均小売価格1リットル当たり170円を維持するのが困難になったため。財源には今年度当初予算で確保した予備費を投入する。

 ガソリン価格の高騰時には、ガソリン税のうち25・1円を減税する「トリガー条項」があるが、現在は発動を凍結している。新たな上限額はこのトリガー条項と同等規模となる見通しだ。

 自民党の経済産業部会と総合エネルギー戦略調査会は同日、上限額を25円以上に引き上げる提言を萩生田光一経済産業相に提出した。萩生田氏は「国際情勢が変わっているので、柔軟に考えていきたい」と述べた。自民党の高市早苗政調会長も17日の記者会見で、「(上限)25円も視野に入れながら、激変緩和を拡充するという方法もある」と述べ、「トリガー条項」を上回る支援の必要性を訴えた。

 補助金の支給は1月27日に始まり、ガソリンのほか、灯油、軽油、重油も対象。1リットル当たりのガソリン価格(全国平均)が170円を超えると支給される仕組みで、補助金を得た石油元売り会社は支給相当分を引き下げた卸売価格でガソリンスタンドなどの小売業者に販売する。週単位で補助額を決めており、1週目は3・4円、2週目は3・7円。3週目の今月10日以降は上限の5円で据え置いていた。

 14日時点のガソリン価格は171・4円と6週連続で値上がり。ウクライナ情勢の緊迫化もあり、原油価格は1バレル=90ドル台前半の高値で推移している。補助金制度は今年3月末までの時限措置だが、財源が底をつく可能性が強まっており、岸田文雄首相は関係閣僚に補助金の増額を含めた追加対策を検討するよう指示していた。
https://mainichi.jp/articles/20220218/k00/00m/010/297000c