営業をしていれば心が折れそうになることもある。だが、芦名氏は「これまで挫折を味わったことがない」と言い切る。なぜなら、彼は挫折を挫折と考えておらず、自らを奮い立たせる試練なのだと考えている。その鋼の精神をつくり上げたのは、15歳、高校生での両親との死別だった。
「両親の事故死はもちろん悲しかったです。だけど、中学生の弟と2人残されて、兄の僕が悲しんでいても埒があかないと思った。自分は自分のできることを全力でやるしかない。ちょうど母が亡くなった週末に、県大会の決勝戦がありました。僕は自分の意志で出場を決め、チームは2位で全国へ。そして、全国大会で優勝を果たしました」
大切な存在を15歳で亡くした心中は、経験した者にしか分からない。だが、悲しみを乗り越え、それによって大きな成長を得たからこそ、芦名氏は言う。
「不謹慎な言い方かもしれないですけど、今思えば両親の死も僕にとっては“ラッキー”だったのかもしれません。結果として精神的に大きく成長することができたのですから」


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