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中国の彭帥選手めぐる懸念、「軽減されていない」 女子テニス協会が見解

中国の女子テニス選手の彭帥さん(36)が、中国共産党幹部を性的暴行で告発していないと仏紙に述べたことについて、女子テニス協会(WTA)は8日、懸念を「軽減するものではない」と述べた。

彭さんは昨年11月、張高麗前副首相から性交を強要されたとオンラインで告発した。投稿は1時間しない内にすぐに削除されたが、その前に拡散された。彼女は数週間、消息不明となった。

今月6日、彭さんは北京冬季オリンピック会場のホテルで、仏紙レキップの取材を受けた。その中で、性的暴行を受けたと訴えたことは一度もないと語った。

これについてWTAのスティーヴ・サイモン最高経営責任者(CEO)は、「彼女の対面インタビューは、彼女の最初の投稿をめぐる私たちのいかなる懸念も軽減するものではない」と主張。
「私たちの見解を繰り返すと、彭は中国政府幹部に性的に暴行されたと勇気をもって公に告発した」と述べた。

また、当局の正式な調査と、WTAと彭さんだけでの面会を求めた。
冬季オリンピックを観戦
彭さんは北京冬季オリンピックに出席している。8日はスキーフリースタイルの新種目の女子ビッグエアで、中国の谷愛凌(アイリーン・グー)が金メダルを獲得するのを見ていた。

国際オリンピック委員会(IOC)は7日、トーマス・バッハ会長が5日に彭さんと夕食を共にしたと発表した。

バッハ会長は昨年11月、彭さんとビデオ通話をし、健康であることを確認したと述べていた。彭さんの安否が告発後に心配されるようになって以降で、本人と話をした最初の著名人だった。

<分析>中国国営メディアにとって完璧な映像――ロビン・ブラント中国特派員
3人が同じ時に同じ場所で集まったのは、今回の五輪が中国にとってどんな意味があるのかを雄弁に語るものだ。

アメリカ生まれでカリフォルニア州在住のアイリーン・グーが最終ジャンプを見事に決め、初の金メダルを獲得。彼女が代表する中国の活躍に貢献した。

観客席の一番前にはIOCのバッハ会長の姿があった。中国共産党と外の世界をつなぐ役割を果たしてきた人物だ。

観客席には彭さんもいた。彼女は、共産党幹部から性的暴行を受けたとの告発を撤回している。

わずか数分の間に、カメラはこの3人の姿をとらえた。うち2人は自らの意思でその場にいたが、もう1人については分からない。

ただ、中国の国名メディアにとっては、完璧な映像となった。