【ブルームバーグ】欧州では先週、3つの暴風雨に見舞われたため、風力発電が復活しつつあり、ウクライナをめぐる緊張が高まる中、化石燃料への依存を緩和するのに役立っている。

研究機関であるフラウンホーファーISEのデータによると、先週の欧州連合内の風力発電機の発電量は14.9テラワットアワーを記録し、ドイツでは日曜日に過去最高の風力発電量を記録した。英国ではDudley、Eunice、Franklinと呼ばれる暴風雨により、何百万もの家庭が停電し、各地で航空便が乱れたため、風力発電量が急増した。

風力発電の出力が急増したことは、エネルギー不足に悩む欧州にとって救いであり、ウクライナをめぐる西欧とロシアの緊張によって天然ガスの供給がさらに低下するのではないかと懸念されている。また、昨年は風が弱かったため、欧州の電力会社は電気をつけるために最も汚い化石燃料である石炭の燃焼を余儀なくされていましたが、今年は一転して風量が増加している。

ドイツのフラウンホーファーISEで先端技術・デバイス部門の責任者を務めるブルーノ・バーガーは、「主な増加要因は、今年の強風という気象条件によるものだ」と述べている。また、風力発電機の設置台数が増えたことも「少しは貢献している」と述べている。

フラウンホーファーISEのデータによると、EUの風力発電量は今年26%増の約84テラワット時に達したのに対し、ガス、石炭、褐炭による発電量は0.3%増の約141テラワット時にとどまった。ドイツではこの変化が顕著で、今年は風力による発電量が化石燃料による発電量を上回った。

風力発電の増加は、フランスでの複数の原子力発電所の停止や、ロシアからのガスの流れが途絶えることへの懸念に対処している市場の逼迫感を緩和するのに役立つ。欧州最大のガス供給国であるロシアからのガス輸送量の約3分の1は、通常、ウクライナを横断するパイプラインを経由している。

フラウンホーファーISEによると、ドイツは2020年以降、新たに1.5ギガワットの風力発電設備を導入した。より多くのタービンが稼働し始めると、荒天の期間は、生産コストの高い化石燃料プラントを代替するのに役立つ。BloombergNEFによると、ドイツの風力発電設備容量は、この10年末までに45%増の91ギガワット時になると予想されている。
欧州の風力発電が復活!嵐の影響で過去最高の出力を記録

昨年末にドイツで4ギガワットの原子力発電所が閉鎖されたこともあり、ドイツの総発電量に占める風力発電の割合は今月46%にまで上昇したとBloombergNEFはレポートで述べている。

風力発電の増加は、ヨーロッパで最も高い電力コストのひとつであるドイツの電力コストを大幅に下げるには至っていない。今年の1日の平均コストは1メガワット時あたり148ユーロ近くで、昨年の同時期に比べて約3倍になっている。それは、需要を満たすために石炭やガスが依然として必要であり、電力の限界価格を設定しているからだ。

https://www.axion.zone/wind-power-is-back-in-europe-as-storms-spur-record-output/