医学論文のシステマティック・レビューを行なう国際的団体のコクランは2022年1月28日に、
バランスのとれた食事より健康的で減量に効果的だと宣伝されることが多い
低炭水化物ダイエットの効果を検証した論文を発表しました。

コクランの研究チームはまず、2021年6月25日までにさまざまな媒体で発表された研究の中から、
18歳以上の成人を対象としたランダム化比較試験で減量食の効果を調べた論文を検索しました。
その結果、合計6925人の被験者が参加した61件の論文が見つかりました。
試験は中国で行われた1件以外は全て高所得国で実施されたもので、6925人のうち1807人は2型糖尿病でした。
また、被験者らの平均体重は95kgで、最初から適正体重の被験者を対象とした研究は含まれていませんでした。

これら61件の試験結果を分析し、炭水化物の摂取量が1日150gより多いか
または総エネルギー源の45〜65%が炭水化物である「バランスのとれた炭水化物ダイエット」と、
炭水化物が1日150g以下または総エネルギー源の45%未満である「低炭水化物ダイエット」の効果を比較したところ、
低炭水化物ダイエットを3〜8.5カ月間続けた人は、バランスのとれたダイエットを行った人に比べて
平均で1kg多く体重が減少したことが分かりました。
しかし、摂取エネルギーの制限を調整したところ、差はほぼ半分になってしまいました。
また、実験期間が1〜2年間と長期的だった場合でも、バランスのとれた炭水化物ダイエットと
低炭水化物ダイエットの差は1kgを下回りました。

被験者が2型糖尿病の場合、実験期間が3〜8.5カ月間の時は1.3kgの差が発生しましたが、
1〜2年では有意な差は見られませんでした。
また血圧、コレステロール値、血糖値、便秘リスクなどの体重以外の健康指標にも、違いはなかったとのことです。
このことから、ニュースサイトのThe Conversationに記事を寄稿したイギリス・ニューカッスル大学の
栄養学者であるクレア・コリンズ氏らは、
「コクランの検証により、低炭水化物ダイエットでもバランスのとれた炭水化物ダイエットでも
減量に効果的だということが示されました」と結論づけました。
https://gigazine.net/news/20220221-low-carb-diets-lose-weight/