カトリック長崎大司教区(長崎市)の男性司祭から性被害を受けた後、高見三明大司教(75)の発言で心的外傷後ストレス障害(PTSD)が悪化する2次被害を受けたとして、女性信徒が大司教区に550万円の損害賠償を求めた訴訟で、長崎地裁は22日、大司教区に慰謝料など110万円の支払いを命じる判決を言い渡した。古川大吾裁判長は「原告の精神的苦痛は多大」と述べた。

判決によると、女性は2018年5月、教会で司祭に無理やり体を触られPTSDを発症。大司教区はわいせつ行為があったことを前提に19年8月、女性と示談した。しかし高見大司教は20年4月の「教区臨時顧問会」で、女性について「『被害者』と言えば加害が成立したとの誤解を招くので『被害を受けたと思っている人』など別の表現が望ましい」と発言。女性は議事録で発言を知り、熟睡できなくなるなどした。

古川裁判長は判決で、大司教区には性被害を否定するような言動をしてはならない注意義務があったのに違反したと指摘。各小教区の司祭らに配られた議事録は信徒も見られるため、高見大司教の発言は「議事録の配布対象者以外にも知れ渡っていた」と認定した。

判決を受け、女性は「私の思いが理解され安堵(あんど)している。聖職者であっても社会で生活する一人の人間。逸脱した行為や言動、隠蔽(いんぺい)体質を見直すよう切に願う」とのコメントを出した。大司教区の担当者は「判決内容を精査して今後の対応を検討する」としている。

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