上野 今や働く女性の約55%が非正規雇用ですから、コロナ禍で悪化した雇用環境の影響をもろに受けてしまいました。
一方男性の非正規雇用の割合は約20%で、その差は歴然です。

姜 非正規雇用が増えたのは、日本がネオリベラリズム(新自由主義)にシフトしていった’90年代からでしょう。
ネオリベは、経済の自由化・効率化を徹底し、国家による福祉や公共サービスは最小化するという考え方です。
女性は社会進出を促される一方で、低賃金の労働力として買いたたかれるようになりました。だから女性が貧困に陥っているのは、
社会構造のせいでもあるのに、ちまたに浸透した自己責任論のせいで、みんな自分のせいだと思っている。

上野 ネオリベ的なメンタリティが、経済的困窮者にも内面化されているんですね。
社会に迷惑をかけたらいけないという気持ちが強くて、行政にも頼らず、追いつめられていく。
それに離婚率が上がって、シングルマザーが増えたことも貧困が増えている理由のひとつです。

姜 離婚率ですか?

上野 はい。日本はもともと妻の座をとても手厚く保障してきたんですね。
夫が亡くなったあとには、遺族年金が受給できるし、不動産も相続できるし、居住権も保証される。離婚しないほうが得なんです。
にもかかわらず、近年、若年離婚が増えています。30代の離婚率は3組に1組と、アメリカに近づいています。

姜 かつては「子は鎹(かすがい)」という言葉がありましたが、今はそれも抑止力になっていないようですね。

上野 子どもが小さくても、妊娠中でも別れます。貧乏になることがわかっていても別れる。でもそういう選択ができることは、すごくいいことだと思います。
DVにしろ、夫の浮気にしろ、昔の女はガマンしていましたが、今の女は、ガマンしなくなった。ガマンしない女が、これだけ大量に登場したのは、日本史上の快挙です。

姜 確かに画期的ですね。一方、子どもの養育費を払わない父親が多いという話もよく聞きます。

上野 ひどいもんですよ。離婚時に、養育費の取り決めをする割合が約3分の1。養育費の取り決め額が月額2万〜4万円。それも支払いは1年半程度で滞る、と。

ソースから抜粋
https://news.yahoo.co.jp/articles/1336ccd469f19c3088763c77cad2bd3633bf0710