任天堂は16日、ニンテンドー3DSおよびWii U向けの「ニンテンドーeショップ」サービスを段階的に終了していくことを発表しました。この動きに対して、ビデオゲームの歴史を保存する非営利団体が「ビデオゲームの歴史を積極的に破壊する」と批判する声明を出しています。

声明を出したThe Video Game History Foundation(以下VGHF)は、ビデオゲーム歴史関連の資料をアーカイブ化し保存する非営利団体です。かつて未発売に終わった海外ファミコン用ゲーム『Days of Thunder』を復元して、動画を公開したこともありました。

VGHFは声明にて、3DSやWii U向けデジタルゲーム(ダウンロード版ゲーム)を購入できなくなるのは残念なことだとしつつ、任天堂がこの決定に至った「ビジネス上の現実」を理解していると述べています。

しかしVGHFが「理解できない」としているのは、任天堂がファンに対して配信停止になったゲームに合法的な手段で触れることまで妨げようとしている点です。すなわち「任天堂はエンターテインメントソフトウェア協会(米国におけるビデオゲーム業界団体/以下「ESA」)の有料会員として、図書館でさえ、これらのゲームへの合法的なアクセスを提供できなくするロビー活動に積極的に資金を提供しています」とのことです。

さらに「商業的なアクセスを提供しないことは理解できますが、これらのタイトルを保存する機関の作業まで妨げるのは、ビデオゲームの歴史を積極的に破壊することです」と批判。そして任天堂をはじめESA加入企業に対して、この問題に対する自分たちの立場を「再考」し、既存の機関と協力して解決策を見つけるよう呼びかけています。

ダウンロードソフトの売上や運営コストなどを判断して、任天堂が3DSやWii U向けのeショップを閉鎖するのは経営的にやむをえないこと。が、放っておけば消えていくゲームをデジタルで保存するNGOの活動や、ファンが図書館などを通じて過去のゲームを合法的に利用・閲覧することまで妨げるのは、ゲームメーカー自らが築いてきたゲームの歴史を破壊することに他ならない、ということでしょう。

任天堂は海賊版ROMサイトに対して厳しい姿勢で臨んでおり、違法コピーに関わった人々は巨額の損害賠償請求訴訟を起こされ、逮捕されて懲役刑さえ科されています。著作権を守るのは当然のことですが、並行して「合法的に」ビデオゲームの歴史を遺そうとする活動を認めることも望まれそうです。

https://japanese.engadget.com/video-game-history-foundation-critics-nintendo-destructive-053506264.html


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