「 ウクライナ危機は他人事ではないぞ 」
『週刊新潮』 2022年2月24日
日本ルネッサンス 第988回
https://yoshiko-sakurai.jp/2022/02/24/9348

米国の大戦略はいま、最大の脅威である中国に力を集中させるという当初目的から大きく外れて、最も好ましくない方向に展開しているのではないか。
カーター政権の国家安全保障担当大統領補佐官を務めたズビグニュー・ブレジンスキー氏はかつて、中露を大連合させてはならない、中露大連合は米国にとっての最大の脅威となると警告した。

バイデン大統領は昨年8月末にアフガニスタンから這々(ほうほう)の体で撤退した。
それでも中東から手を引き中国に集中するという戦略意図は正しいものとして受け入れられた。

しかし今米国は、中国に集中するのではなく、中露を接近させてしまった。
北京五輪を機に行われた中露首脳会談後の共同声明を見れば、彼らの大連合路線は明白だ。
中露は自分たちこそが真の民主主義国だと主張し、国連中心主義を謳い上げた。弱小国を巻き込んで数で勝負すれば勝目はあると見ているのだ。