ゼレンスキー氏はウクライナで喜劇俳優としてのキャリアを着実に積み上げてきたが、2015年からスタートしたテレビドラマ「人民の執事」のヒットによってさらに知名度を高めることに成功している。
すでに3シーズンにわたって放送されたドラマの中で、ゼレンスキー氏は汚職や不正を嫌う30代の教師を演じ、
ソーシャルメディアの力によって主人公が教師から大統領に転身し、ウクライナに存在する様々な問題を解決していくという内容だ。

日本では考えられないが、サードシーズンの最終回がオンエアされたのは3月28日。
大統領選を戦っていたゼレンスキー氏は大統領役でドラマに直前まで出演し、大統領選は最終回のオンエアから間もない31日に行われた。

ゼレンスキー氏は2018年の大晦日に大統領選挙への出馬を表明したが、すでに同年3月にはドラマのタイトルでもある「人民の執事」が政党名として正式に登録されており、
これまでドラマを制作していたスタッフの一部が政党のスタッフに転職までしている。
ゼレンスキー氏が主人公のウクライナ大統領を演じたドラマは、前述のとおり大統領選挙直前の3月28日まで毎週木曜日に放送されていた。

大統領選挙の候補者が選挙期間中に大統領を演じるドラマに出演することに対し、
メディアを使った典型的なプロパガンダ活動でフェアではないという声が大学教授やジャーナリストから上がったものの、結局グレーゾーンという認識で放置されたまま大統領選挙は行われた。
ゼレンスキー氏が出演する番組のほとんどは「1+1」というテレビ局で放送されており、
この局のオーナーがウクライナのオルガリヒ(新興財閥)であるため、富裕層に優しい政治が行われるのではという懸念もすでに出ている。


政治経験のないコメディアンがウクライナ大統領選で圧勝できた理由
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