元ホームレスが語る眠りやすい都内の路上ランキング2位は荒川河川敷、1位は?

意外に思うかもしれないが、都庁という場所はホームレスにとても優しい。都庁下の路上はそのほかの路上とは違い、24時間布団を敷いていようと誰からも注意を受けることがないのだ。
しかも、私がここに暮らしていたのは東京五輪の真っ最中である。ダンボールの小屋を建てているホームレスもテントを建てているホームレスも、
誰からも咎められることはなく、「五輪によるホームレスの排除」など微塵も感じられなかった。私の隣で暮らしていたホームレスの男性は言う。

「僕は2年間このあたりに住んでいるけど、移動を命じられたのは東京マラソンと、今回のセレモニー(聖火リレーの点火セレモニー)だけ。それも2日とか3日とか、一時的なものだし」

 この期間、私たちの元にはよく新聞記者やテレビ局の人間が取材にやってきた。みな一様に、五輪に湧く世間と貧困のコントラストを描くことで、
政権批判を展開しようとしていたようだが、現場の空気は違う。彼らが「作り出す」ニュースを見るたびに、私は路上で苦笑してしまった。

 加えて、都庁の下では週に複数回炊き出しもおこなわれており、同じく週に複数回炊き出しがある代々木公園へのアクセスもよい。
ボランティアや一般の人々が、食料を差し入れてくれることも多々ある。そして都庁下の一帯は、庁舎のペデストリアンデッキと頭上の道路で覆われており、雨に濡れる心配もない。

 都庁という場所は、路上と河川敷両方の長所を兼ね備えているだけでなく、両方の短所すらも補っている。もし、ホームレスになることがあるとしたら、最初に向かうべき場所は都庁下の一択と言っても過言ではない。

https://news.yahoo.co.jp/articles/5cee3fa86ebb7b5a66e6cb1857c1176333b7d08e