シリア難民を拒んだEUが、「白人」ウクライナ人は歓迎─その矛盾に潜む“人種ヒエラルキー”

たしかに今回のウクライナ侵攻は、EUのまさに目と鼻の先で起きている戦争であり、2015〜16年の難民流入時とは状況が違うという説明はできるかもしれない。侵略してきたロシアに対し、EUは強固な連帯を示す必要がある、と。

だがワシントン・ポストが複数のEU高官らに取材したところ、やはりそれだけでは説明がつかない、人種やアイデンティティといった要素が働いているという。

ある高官は匿名を条件に同紙にこう語っている。「正直、彼ら(ウクライナ人)は、白人のキリスト教徒だから、こちらの感情も変わってきますよね」

アメリカ人の人道活動家アジャム・バラカは、EUの難民政策が一変したのを目の当たりにし、ツイッターで問いかけた。

「誰か私に説明してほしい。なぜウクライナ人の命は、ハイチ人、パレスチナ人、エチオピア人、アフガン人、シリア人、イラン人、アフリカ人の命よりも大事なのですか? 白人が苦しんでいる姿だけが、人々の心を動かすのですか?」
https://courrier.jp/news/archives/280642/