愛知県の大村秀章知事は、前衆院議員でトヨタ自動車社員の古本伸一郎氏(56)を副知事に起用する人事案を固めた。会期中の県議会二月定例会に人事案を追加提出し、同意を求める。
 民間企業出身の同県副知事としては、二〇一四年四月から二〇年三月まで務めた元トヨタ常務の森岡仙太氏(74)=現県顧問=の先例がある。大村知事は、空席となっている森岡氏の後任を民間から探していた。
 古本氏には政界経験がある上、労使双方への人脈があり、トヨタをはじめとする産業界へのパイプ役としても期待できることから白羽の矢が立ち、知事は昨年末からトヨタ側と調整していた。
 古本氏はトヨタ労組組織内候補として、二〇〇三年から愛知11区(豊田市、みよし市)で六回連続で当選。しかし昨年秋の総選挙では、自動車業界の変革期に労使が選挙で対立するのは「違和感がある」とするトヨタ労組執行部の方針などで予想外の不出馬となり、政界を退いていた。
 人事案ではこのほか、県職員出身の加藤慎也副知事(64)が退任し、後任には林全宏(まさひろ)総務局長(60)を充てる。また県教委の長谷川洋教育長(63)も退任し、飯田靖県企業庁長(60)が後任となる。

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